この恋を忘れない
 もしこの恋が叶うなら、もしもっと早く貴方に会っていたなら。もしを考える。でも、もしなんてないし、考えるだけ無駄。分かっているけど、考えてしまう。

 あの日は、体育大会の日だった。いつもの仲の良い3人でサボっちゃおっかって話をしてた。じゃあって梨沙が携帯を取りだして電話をかけ始めた。
「だれ?」
と聞くと、梨沙が
「会ってみれば、わかるよ。」
って言う。由香と顔を合わせて、誰?かと考える。
 15分後、校門の外に外車が止まり、中から順が出てくる。
「久しぶり」
梨沙が挨拶をする。
「初めまして」
と順が私をみて言う。由香は、何だか恥ずかしそうにしている。今、思えばその意味を考えておけば良かった。私たちは、そのまま順の車に乗って学校を飛び出した。後の事は、後で考えよう。それが私達3人のいつもの考えだった。
 順とのドライブは、すごい楽しかった。親とは違う大人の運転。その時、私はいつもと違うその雰囲気に心が踊っていた。時間はあっという間に過ぎ、夕方、帰り際にLINEを交換した。
「いつでも、連絡してきてね。」
と言う彼に
「はーい」
と返事をしその日は、別れた。

その夜、電話が鳴った。
「もしもし?」
でると、順だった。
「今日は、お疲れさま。」
順の低い声が聴こえる。どうでも良い話を笑いながらした後、順が急に
「美穂って彼氏いるの?」
と聞いてくる。
「彼氏は、いないけど好きな人がいる。」
そう答えると順は、
「残念。」
と言う。聞かなきゃ良いのに
「なんで?」
と意地悪で聞いてみた。
「気になるから。」
余りにストレートに言われて、照れながら
「順、今、フリーなんだ?」
って聞くと
「彼女いるよ。」
と普通に返されて
「いやいや、彼女いたら今の発言チャラいから」
って言うと
「彼女いても気になるんだから、しょうがないじゃん。」
と言われドキドキしてしまった。その後は、話を何とかそらして電話をきった。ドキドキしてしまった自分に、彼女持ちだからと言い聞かせながらその夜はなかなか寝付けなかった。

 次の日、学校で梨沙と由香に挨拶して昨日の話をする。もちろん、夜の会話じゃなく、体育大会サボって楽しかったねって。
「順ってモテそうだよね。」
私が言うと、梨沙が
「モテるよ」
って返事する。由香が、
「でも、5年付き合ってる彼女がいるんだって。」
と順情報をいれてきた。
「5年って、長いね。」
彼氏を結構頻繁に変えてる私からしたら長く感じた。
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