君がいればそれだけで。
俺たちも笑顔になり、深々と頭を下げて久しい事を挨拶した。国王は俺たちに感謝しながら頭を上げて欲しいと言ってきた。なぜ感謝されているのか分からないまま顔を上げると肩を抱かれてまた豪快に笑われた。

「曾祖父に聞いた話だと今の彼女が本来の姿なのだよ。ずっと誰かに謝罪しているような姿だったからとても嬉しいんだ」

ありがたきお言葉を頂き、早く見つけてこいと背中を押された。俺たちはまた深々と頭を下げ、王女探しに戻った。今度は二人、笑いながら。俺の無くなった角も、リズレイドの奪われた腕も無駄ではなかったと言われている気がしたから。
まだ捜していない庭に出てみると、誰かに見られている気がして周りを見たけれど誰もいない。どうしたものかと空を見上げてみると、紐のような物が屋根の上に引っ込んでいった。
まさか、本当に屋根の上にいるのか。
< 183 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop