君がいればそれだけで。

そうでもないらしい

簡単な事だからこそ、しなかったんだ。自分でやらないと俺たちのためにならない。そう知っていたから。
俺とラズハルドは顔を見合わせ、自分たちがまだまだ未熟であると笑い合った。パルたちには不気味がられたけれど、今はそれで構わなかった。だって味方を見分け、信じる事は命令に次いで大事な物。なのにそんな大事な物さえ忘れ、全てが敵であると思い込んでいたのだから。

「なっさけねー」

「だな」

今回の失態が王女の前じゃなければ良くて檻の中だっただろう。最悪、この世にはいなかったかもしれない。誰が味方かという判断を怠れば助けられる者も助けられなくなるのだから当たり前と言っても不思議じゃない。とうとう俺たちにも平和ボケが舞い降りてきたって事かな。
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