君がいればそれだけで。
俺たちはただ、言われたら動くだけだ。国民を助けたい訳じゃない。王女に生きていてほしいだけだ。

「入ってもらわないの?」

「えぇ、まだダメ」

「ふーん」

残った者たちへの食事や寝床を支給していく中で気付かされた事がある。俺たちは悪い所にばかり目をやり過ぎていたみたいだ。王女のそばで暮らしたい、そばにいたいと思ってくれている者たちが庭を埋め尽くすほどいる事を忘れていたのだから。
きっと忘れていると気付かせてくれなかったのは自分で気付かないとまた忘れてしまう。そう思われたからだろう。教えるのもやってあげるのも簡単な事だから。
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