君がいればそれだけで。
「フィン様、リアン様。そろそろご準備をなされてはいかがでしょうか」

「もうそんな時間!?準備してくる!」

「いってらっしゃい。私はこのままで良いわ」

「かしこまりました。・・・フィン様?いかがなさいました?」

「ううん。フィンって呼ばれるのに慣れなくてね」

準備をしていないと焦って自室へ戻ったリアン様とは違い、フィン様は私を見つめたまま不思議な表情をしていた。奥歯に挟まった何かが取れなくて困っているような微妙な表情をしている理由は他愛もなくて。
< 281 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop