君がいればそれだけで。
フィン様はいつも通り、人懐っこいのに大人びいた笑顔を私に向けてきた。パルはこの笑顔に何度撃ち抜かれてきたのだろう。ラズハルドもこの笑顔にやられて恋に落ちたのだろうか。

「私たちの推測はどうだった?」

「仰る通り、私はヒューが一人でもやっていけている事に安心し、クヲラを息子のように育てる事が出来ております」

「ここに来た事を後悔していない?」

「もちろん。私はあなたに会え、本当に幸せです」

だってフィン様に会えなければヒューにもクヲラにも、パルにも会えなかった。ラズハルドと分かり合う事も、ベクウに嫉妬する事も出来なかった。リズレイドと友になる事もなかったのだから。
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