君がいればそれだけで。
やっと友達と一緒にいると楽しいんだと知り始めたくらいの幼さだった王女は本当に些細な事で友と喧嘩してしまったらしい。どちらが悪いのか。たぶん、どちらも悪くはなかった。友は王女のために、王女は友のために同じ花で冠を作りたがったのだ。
もう知らないと互いに背を向けて駆け出した時、後ろから大きな爆発音と突風が幼い王女の体を吹き飛ばした。何事かと泣きながら起き上がると、見慣れた友の片腕と半分無くなった友の顔が目の前に落ちていたそうだ。
王女が寿命のある命に拘るのは友のように喧嘩や誤解したまま会えなくなってしまう人を少しでも減らすためだった。友との辛い別れがあったから、人々に何と言われようと守る事を止めなかった。きっと分かってくれると信じて。
いや、王女なら分かってもらおうとも思っていないのかもしれない。自分の意見を押し付けているだけだと知っているから。
何でそんな辛い事、一人で背負ってんだよ。
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