君がいればそれだけで。
恋なら諦めたり、密かに思い続けたり出来るのにそうではない。彼女の笑顔に喜びを感じてもきゅんっと胸が締め付けられる訳でもない。もっと色んな表情が見たい、もっと知りたいとは思うけど一人の女性として興味がある訳でもない。
自分でも何なんだと首を傾げる日々が続いていた。

「庭の草むしりをする王族なんていませんよ?」

「いるじゃないですか、ここに」

「兵士や召使いに任せないんですか?」

「今日は庭師が帰省中なのでたまたまですよ。それに、ここら辺はよく私が昼寝に使っていますから邪魔していて上手く処理されていないのです」
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