君がいればそれだけで。
そもそも、二人で行かせて良いのか。いや、普通の町娘ならまだしも王女だし、そこら辺の兵士を連れていくよりも頼れるんだろう。でも、二人だけの秘密を作られるみたいで嫌だった。

「ラズハルド、あなたも付いてきて。リズレイド、ヒュー、シオラはパルの事をお願い」

「俺で良いんですか?」

「あなたが良いのです」

内心、喜んでいる俺がいた。最近、心がおかしくなっているんだ。王女に頼られると嬉しくて口許が緩んでしまう。気を引き閉めていても、笑うような場面ではなかったとしても。王女の心に触れると嬉しさのあまり顔がにやけてしまうんだ。
ただ、困っているのは恋ではないから対処しようが無いという事。
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