君 色。 <短>
「ケイちゃん!ケイちゃん!」
「ん?」
そっと左耳に唇を持っていく。
「私はね、物語は結末から見るのが好きなの」
「ふっ――知ってるよ?」
「あとHAPPYENDがスキ!」
「それも知ってるよ」
「……だからね――」
「だから?」
「二人の物語も、絶対HAPPYENDにしてね?」
「――もちろんっ!」
そう言って触れ合った私達の唇は……
まだまだちっちゃなことで戸惑っちゃうような
触れ合っただけの、あの頃と変わらない、不安定な幼いキスで――
レモンの味も、イチゴの味もしなかったけれど。
ふわっと柔らかく
一瞬で、幸福の味が胸いっぱいに深く広がる――
靄のかかった心が、昇華されていく。
眠っていた、キスの意味を知る。
――私は思い出す。
誰かに染まる
染められる心地よさを。
なぁんだ。
こんな簡単なことだったんだ。