君 色。 <短>



ね、ケイちゃん。


健康だって言われてたものが、何年か経った後に、本当は毒だったってわかるみたいに、

今日の本当が、いつか嘘になっちゃう日が来るかもしれない。


もしかしたら、互いのこと……

ちょっと美化しすぎちゃってるかもしれないしね。



だけど、今までの私達は

私の、捕らえようのないこの気持ちだけは……


……今、ここに本当だから。



重ねて、重ねて……

また繰り返していけばいいでしょう?



とりあえず、今だけを誓っとこうよ。


変わらない愛なんてないというのなら、愛のままでその形を変えていけばいい。

終わったものにしか永遠が存在しないなら、そんな洒落た誓いはいらない。


光る石っころだって、何の意味も持たない。



ただ、小指を絡めて。

それから、痛いくらいに抱きしめて……



ここにいるよって

私はここに存在してること、確かめさせてほしい。


手繰り寄せた二人の糸をもう手放したりしない。




大切な物を守り抜ける自信も力もないけど

諦めだけは悪い二人でよかったね。


女々しくてよかった。



飼い馴らした寂しさを、過去に解き放つ――



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