君 色。 <短>
……一歩一歩
一日一日……
時を刻むたびに、胸の奥をギュッと縛りつける、そんな感情は劣化している。
それならばいっそのこと、綺麗さっぱり忘れられたらいいのに……
それもできずに、目に見えるように錆びついて色褪せてゆく想いを
私は黙って、傍観しているしかない日々を過ごす。
欲しくて手を伸ばしたい。
だけど、そこまで必死に手に入れたいものは何なのか?
そんなものは存在するんだろうか?
真っ正面から向き合ってしまえば、歯がゆくて空しくて……
どうしようもないから、私は目を反らし続けたままでいる。
……ほら、やっぱり私は弱虫だ。
だけど、それが普通なんだと思う。
今の私は、セーラー服じゃなくて、黒のスーツに身を包み、
紺色のハイソックスじゃなくて、ストッキングが似合う年齢になった。
いつのまにやら、大声を出して笑うこともできなくなった。
無防備にすんなり誰かに心を開けるほど、無邪気じゃ生きてもいけないし
唇の触れ合いひとつにいちいち心を乱すなんて、返って滑稽で笑える。
月日の流れって恐い。
恐いと思わない内に、抵抗しない内に進んでいくことが、何より脅威だ。