名前を呼んで、好きって言って
柊斗さんが立っていて、見下ろされている今、いつもより怖さが倍増だ。
「えっと……ブラウニー……?」
「……食べたい」
まさかのリクエストだった。
怖さが薄れていく。
むしろ微笑ましくなるくらいだ。
本当に甘いものが好きらしい。
「明日、作ってきましょうか……?」
柊斗さんとの会話は、これが初めてな気がする。
まさか敬語になるとは。
柊斗さんは少しだけ笑った。
そしてあっという間に私たちを抜いて行った。
「怖かったあ」
息を我慢していたのかと思うほど、大きく息を吐き出した。
「あの見た目で甘いものリクエストしてくるとか、やばくない?」
「わかる、ギャップね」
柊斗さんのギャップにやられている人は、やはり結構いるようだ。
「ところで秋保ちゃん。ブラウニーって、何?」
知らずに話を進めていたのか。
「チョコケーキみたいなものかな」
「何それ、気になる」
「みんなの分も作ってくるよ」
すると一人は抱きついてきて、一人は頭を撫でてきた。
「秋保ちゃんは優しいね」
「大好き」
仲良くなった人に大好きと言われるのは、なんだかくすぐったくなる。
「私も、クラスみんな好き」