この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

土曜日はまるで廃人のように一日中ベッドの上ですごした。とめどなく涙があふれて止まらない。目が腫れてお肌もボロボロ。寝不足で頭が重い。もうなにも考えたくない。

目を閉じると浮かんでくる晴くんの顔。会いたい、今すぐに。声が聞きたい。ギュッとしてほしい。優しく髪を撫でて、笑いながら「ひま」って呼んで。

「うぅ……っは、る、くん……っ」

大切でかけがえのない存在。きみのことが大好き。離れたくない。

でも……。

抗がん剤治療って髪の毛が抜けるんだ。食欲もなくなって、まともにご飯が食べられなくなる。副作用が苦しくて、毎日吐いてばかり……。

ガリガリにやせ細って、髪の毛がなくなった頭を隠すようにニット帽をかぶっていた小学五年生の自分。

そんな情けない姿、晴くんには絶対に見られたくない。それにね、抗がん剤が効かなかったら……春まで生きられるかわからない。

そしたらきっと悲しませるよね。

私のせいで傷ついてほしくない。きみを苦しめるくらいなら、離れる覚悟だって……。

ピロリンとスマホが鳴った。

晴くんからだ。

『明日は楽しみだな。十一時に迎えに行くよ』

涙で文字がにじんだ。

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