この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
第三章〜きみへの想い〜

友達以上恋人未満


学校祭が終わって約十日。

七月に入って照りつける日差しが強くなった。今年は猛暑になるらしく、まだ梅雨が明けていないというのにものすごく暑い。

紫陽花も枯れてあと一週間もすれば梅雨が明けるとニュースで言っていた。

今年はどんな夏になるのかな。去年は受験で大変だったぶん、今年はたくさん遊びたいと思ってるんだよね。

「桃咲さん」

バス停の日陰に立っていると福島くんが走ってきた。半歩端に寄ってふたりで並んで立つ。

「今日はバスなんだね」

「うん、寄るとこあるからさ」

「そっか。来週からテストだなんて憂うつだなぁ」

「けど、終わると夏休みだよ。テストの範囲で俺がわかるところなら教えられるよ」

なにげなくつぶやいた言葉に丁寧に返してくれる福島くん。

「ありがとう! 英語でわからないところがあるんだよね」

「どこ? あとで教えるよ」

「助かる」

そんな会話をしているとバスがきて停まった。扉が開いて一番に確認するのは日向くんの存在。無意識に目が日向くんを探し始める。

あ、いた……!

口元がわずかにゆるむのを抑えられなかった。日向くんも私に気づいて笑ってくれる。いつもは日向くんの隣だけど、今日は福島くんがいるから一番うしろの席だ。

< 88 / 242 >

この作品をシェア

pagetop