スーパーヒーロー
『ねぇねぇ。君の将来の夢は何?』
『え?私?私はね!!皆を笑顔にできる神様になりたい!!』
『神様?』
『うん!皆を見て、笑顔にするの!素敵でしょ?』『うん!』

「おいこら、」
ビクッ
「授業中に居眠りとはいい度胸だな。コラ」
「すんません。保育園児ってのは結構元気で。」
「学生が甘ったるいこと言うなよー」
「すんません。」
アハハ……
周りが全員笑う。ニコニコしてる。
何であんな昔の夢をみたんだろう。そう言えば結局君の夢は聞けなかった。
(神様…か。)
今の君の夢は何なんだろう。クラスの中心で誰からもモテる君。そんな君が見てる夢は何だろう。いつか、いつか、僕にも教えてくれる時が来るんだろうか?

暗殺者を題材にしたアニメ。
何故悪役なのに主人公でいられるんだろう。人を殺してどうして周りから愛される役もできるんだろう。僕は普通にいても周りからなんて愛されないのに。悪役なのに主人公で愛されるなら、僕は暗殺者になってみたい。嫌な奴も全部全部殺してやりたい。
そんなことを思った事がある。
ヒーローに敵対するヴィランもヴィランの曲げられない何かがあって。それを貫くためにヒーローに向かっていく。そんなヴィランをカッコイイって思った事があった。周りから批判されても曲げない何かがあるのはもしかしたらヒーローよりもカッコイイんじゃないかって。
それもこれも全部が馬鹿馬鹿しい僕の夢の一部なんだが。僕は何者にもなれない。キラキラ光る君みたいには絶対になれない。誰かを守るほど勇気も力もない。誰かに反対されてまで貫く意思もない。結局、僕は僕でしかなくて。弱くて、どうしようもない僕なんだ。
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