KANATA~answers of your selection~
「あおはるさ、大分料理上手くなったなあ。...ってもともと上手いか!はっはっは!」


「はるは忙しいのにちゃんと家事もやってくれてる。料理も美味しいし、本当に感謝しかないよ」


「なんだよ遥奏(はるか)。ノロケか。いつまでも新婚夫婦のような気持ちを忘れない...。その心構えは大事だよ」


「お前らだってなんだかんだいって仲良いだろ?」


「そりゃあまあ、とてもとても仲がよろしくて。この前も映画デートしたさ」


「さすがだな」



長内宙太さんは母のことをあおはると呼ぶ。


"蒼井晴香"という母の旧姓から来ているらしいがオレはその呼び方が気にくわなかった。


馴れ馴れしいし、いつまでも母のことを子供扱いしているみたいで嫌なんだ。


子供の前でそんな風に呼ぶのは止めてほしい。


普通に気まずい。



「奏太、また背伸びたんじゃないか?何センチ?」


「175」


「おっ、じゃあまだ父ちゃんよりは小さいんだな」


「これ以上大きくなりたくないし、オレはこのまんまでいい」


「そっかそっか。残念だなぁ。父ちゃんを越えられるように学業くらいは頑張ってくれよ」



余計なお世話だ。


言われなくてもちゃんとやっている。


具体的な夢はないけどいい大学に行けるように一般人と同じくらいは勉強しているし、そこそこの成績ではある。



「ちょっと~男性陣も手伝ってくれない?あんたたちが1番食べるんだから」


「ごめんごめん。許してよ瑠衣ちゃ~ん」


「許してあげるからやって」


「は~い」



夫婦間の力の差を感じるのはきっとこういう場面でだと思う。


あちらは完全に妻に権限があって家族を統制している感じがする。


うちはわりと力の差は無くて皆が助けあっている。


改めて考えると良い家族だと痛感する。


阿部家に生まれてきて良かったと素直に思えた。



「はる、これは俺が運ぶよ」


「ありがとう。助かります」



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