くちびるが忘れない
「フッ…奈生ちゃんに聞いたら?俺のキスじゃ足りないみたいだから」
『甲斐さん!そんな!』
掴まれたトコが熱い
必死に甲斐さんに助けを求める視線を送るのに
にっこり微笑み返されるだけ
「じゃ~遠慮なく」
私の話なんてどっちも聞いてない
「奈生ちゃん気をつけてね。俺が言った事忘れないで」
甲斐さんが言った事?
そんなのもう考えてられない
大股で歩く矢野将太郎についてくのに必死で
チラッと見えた横顔は怒って見えるし
逃げ出したいよぉ
冷たい外気に首をすくめて何かを言わなければと焦るけど
何も言えないまま助手席に押し込まれた
嫌だぁ…
素早くエンジンをかけて動き出した車は暗闇に吸い込まれてくようで
不安がつのっていく
高速にのるまで一言も発しない矢野将太郎に
全神経が集中していた
「…家どこ?」
ビクッ
送ってもらうからには教えなきゃいけない
でも…きっと矢野将太郎の自宅とは正反対
『あの…どこかの駅で降ろしていただいたら電車で…』
「もう終電ないよ」
慌てて時計を見たら
0時14分
何も言えない
『甲斐さん!そんな!』
掴まれたトコが熱い
必死に甲斐さんに助けを求める視線を送るのに
にっこり微笑み返されるだけ
「じゃ~遠慮なく」
私の話なんてどっちも聞いてない
「奈生ちゃん気をつけてね。俺が言った事忘れないで」
甲斐さんが言った事?
そんなのもう考えてられない
大股で歩く矢野将太郎についてくのに必死で
チラッと見えた横顔は怒って見えるし
逃げ出したいよぉ
冷たい外気に首をすくめて何かを言わなければと焦るけど
何も言えないまま助手席に押し込まれた
嫌だぁ…
素早くエンジンをかけて動き出した車は暗闇に吸い込まれてくようで
不安がつのっていく
高速にのるまで一言も発しない矢野将太郎に
全神経が集中していた
「…家どこ?」
ビクッ
送ってもらうからには教えなきゃいけない
でも…きっと矢野将太郎の自宅とは正反対
『あの…どこかの駅で降ろしていただいたら電車で…』
「もう終電ないよ」
慌てて時計を見たら
0時14分
何も言えない