冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】


「…こちらには、どの様にしてお越しになったのですか?」


皇帝陛下の側で控えていたこの国の宰相様が恐る恐る口を挟む。


事前に予測していたとは言え、非常にタイミングが良い。


アデリカル王国からスレンスト帝国まで、どんなに早くても三日ほど掛かると言うのに。


「そなたは……ここの宰相か?」
「左様でございます」


その返事に王様は鼻で笑う。


「この国の宰相は他国の事も知らないのか」
「……………と、仰られますと?」


高いプライドを傷つけられたのか。


宰相様は少しだけ不機嫌そうに聞き返した。

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