冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】









静かな廊下では、靴の規則正しい足音が虚しく響き渡る。


部屋を後にしたルークスからは、どこか怒りの様なものが雰囲気から感じ取れる。


真顔がルークスを余計に不機嫌に見せる。


「……………気にくわない」


口にした不満は空気に溶けて消える。


(生まれつき剣技や戦術に恵まれ、聖女様と共に戦った"英雄騎士、ジェット"様の生まれ変わりとまで言われる神子の王様が………何故…………)


その怒りは歩くスピードに現れる。


(汚れた帝国の血が流れる女と言うだけで許しがたいのに、気味の悪い髪をしおって…)


銀色に薄っすらとピンクがかった、今までに見た事のないシルバーピンクの髪。
ルビーの様な真っ赤な目。


まるで、魔女のよう。


< 44 / 190 >

この作品をシェア

pagetop