王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。



こんな状態の芭瑠くんを見ていたら、これ以上何もしないでって思うのはダメなことなの……?


それとも、これはわたしにはわからない世界なの?


泣きたくなんかない、
泣くつもりなかったのに、心配と不安で瞳が涙でいっぱいになる。


ギュッと目を閉じたら、
涙がゆっくり頬を伝っていく。

視界がぼやける。


すると、一瞬芭瑠くんの身体がピクッと動いた。



「……ふゆ、?」


声がするのに、涙のせいで顔が見えない。
しかもこんな泣き顔見せたくない……っ。


すぐに自分の手で涙を拭うと、さっきまで眠っていた芭瑠くんが目を開けてこちらを見ている。


心配でたまらない……っ。
こんなに弱ってる芭瑠くんは初めて見た…。


「……なんで泣いてるの?」

「倒れたって……聞いたから……っ」


「……点滴打ってもらってるから大丈夫。
そんな泣かなくてもすぐ元気になるから安心して」

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