王子系幼なじみと、溺愛婚約しました。



でも抵抗しても、芭瑠くんの両手がわたしの両頬を包んで無理やり上げさせるから。


「……あーあ、そんな可愛い顔しちゃって」

「み、見ちゃいやだ……っ」


部屋は暗いけれど、ベッドのそばにある薄暗い灯りがあるせいで、真っ赤なのがばれちゃう。


「芙結のこんな可愛い顔を見られるのは僕限定だよね」

頬にあった手が、今度は口元に移動して指先でジワリと唇をなぞってくる。


「まさか、他の男に見せたりしてない?」

「そんな……わたしのことなんて誰も興味ないもん」


「それはないよ。
芙結は自分の可愛さもっと自覚して?」

「可愛くないもん」


ムッと唇を尖らせて、芭瑠くんを見てみるけど全然効果はなくて。


「僕が可愛いって言ってるのに。
そんなこと言う口は塞いじゃうよ……?」

親指がグッと唇に押しつけられる。

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