君は同期で幼馴染で××で
同期の中でも早くから頭角を現し、既に次期エースと言われるほどの恩田さんを、正直羨んだこともあった。でも、こうして一緒に仕事をしていると、彼は優秀な人なんだと実感して、今では素直に尊敬している。困った時には、彼に意見を求めてしまうぐらい、頼りにしている。

まあ、〝仕事中は〟と限定的だけど。


「お疲れさまでした」

週の半ばの水曜日。
1時間ほど残業してから、このあたりで切り上げようと荷物をまとめた。
水曜日はノー残業デーとされている。定時で帰るように、位置付けられて始まったこの制度。でも、本当に定時で上がると、結局はどこかでしわ寄せがきてしまう。だから、だんだん緩んできて、今は1時間程度の残業はあたりまえで、誰も咎めない。もはや、この制度はないと同然だ。

さっさと帰って、録画したドラマを見ようと、足早にロビーを抜ける。外に出て、駅の方へ足を向けると……

「真紀ちゃん!!待って」

きた……
若干、うんざりした気持ちで振り返る。

「やっと追いついた」

走ってきたのか、少しだけ息が上がっている彼、恩田陸。

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