始まりはクールな御曹司とのとろける様な一夜から
広い教室…懐かしい。


私達も、ここで実習したのを、つい最近のように思い出す。


アシスタントだった頃の悠人のことも、ちゃんと、浮かんで来る。


『みんな、おはよう。さあ、始めよう』


『おはようございます、よろしくお願いします』


男女合わせたたくさんの生徒に、360度囲まれながら、丁寧に授業を行う悠人。


カットの技術を惜しみなく生徒に伝えようと、一生懸命に頑張る姿に、すごく好感が持てる。


そして、その全てを聞き逃さないようにと、生徒達は、真剣に聞き入っていた。


みんなの、悠人みたいな最高のトップスタイリストになりたいって言う思いが、ヒシヒシと伝わって来る。


私も…


学生時代は、ここにいるみんなと同じように、必死だった。


とにかく、センスのない私は、人の何倍も頑張らないとダメだったから。


でも、どんなに頑張っても、悠人みたいなセンスに溢れてる人には、絶対、叶わない。


それは、痛感していた。
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