極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
病に倒れた望さんが既に手遅れだと知り俺は驚愕した。何も言えずにいると病室のベッドの上でやつれた顔をする望さんが天井を見ながら言った。
「なあ流星、俺が死んだら妹は寂しくて毎日泣くんだろうな…」
「望さん…」
両親が事故で亡くなりたった二人で生きてきた望さんと叶。自分が死んだら天涯孤独の身になる妹を心配する望さんに胸がつぶれそうだった。

「流星にお願いがあるんだ」
自分が死んだら叶は何もわからないだろうから葬式から何から全部仕切って欲しい。叶が大人になるまでできれば見守って欲しいと申し訳なさそうに言う望さん。
なぜ俺をその役目に選んだか聞くと、
「ぶっちゃけ、お前の金と地位があれば妹の一人くらい守れるだろ?申し訳ないがお前の力を利用したい。もちろん妹を託せる信頼できるやつだと見込んで頼んでるんだ」
と、包み隠さず教えてくれる。自分の亡き後に妹を何不自由なく生活させるにはそんな打算を考えても不思議は無い。何より妹の今後を憂う望さんの願いを聞き入れられる力が俺にはある。
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