極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
流星さんが忘れ物なんて珍しい。
自分で取りに来なくても秘書の梶原さんに頼んでも良かった気がする。
梶原秀弥(かじはらしゅうや)さんは流星さんと同い年で、この家にもよく出入りしてるから私とも顔馴染み。よく差し入れが食べきれないからと私にくれる優しいお兄さんで眼鏡姿が凛々しい素敵な人だ。

ふうっと一息ついてリビングに戻るとまた一つ琥珀糖を取った。
あ、と思って急いでバルコニーに出ると柵を乗り越える勢いで下を覗いた。
真下にあるエントランス前には黒塗りのセダンが停まっていてちょうど流星さんが出てきてその車に乗り込んだ。
良かった間に合った!と私はほくそ笑みゆっくりと走り出す車を見送り小さく行ってらっしゃいと呟いた。
夕日が差し込んできて持ってた琥珀糖を日の光にかざすと透き通るようにきらめいてとても綺麗だ。そしてそれをパクッと口に放り込んだ。
「ふふっ、甘い」

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