極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい
「流星が居ないのは好都合。邪魔するよ」
「だっ!旦那さま!?」
和泉さんを押し退け私が驚いてる間にズカズカ入って来たのは流星さんと和泉さんのお父様。言わずもがな高槻コーポレーションの社長だ。
還暦を迎えたとは思えないほど若々しく髪も黒黒していて流星さんの未来を見てるよう
「おじゃましまーす」
後に続くは末の弟さんの風雅(ふうが)さん。その後ろには高槻家の執事の穂積武雄(ほづみたけお)さんと奥様で家政婦の紀子(のりこ)さんが大荷物を抱えて申し訳なさそうに入って来た。
私がお父さまを旦那さまと呼んでるのは、家政婦になるとき手取り足取り仕事を教えてくれた、いわば先生でもあるこの二人に倣ってのことだ。
「これは…いったい…?」

目を白黒させながらあんぐりと口を開けてほおけてると和泉さんが困った顔で言った。
「ごめんね、実家の屋敷をリフォームすることになってさ、父がその間兄さんの家に泊まることに決めて…」
「え?私何も聞いてません!」
そんな大事な事を流星さんが教えてくれないなんて、お部屋の用意とか色々準備があるというのに前もって言ってほしかった。
「いや、兄さんは嫌がって断ってたんだよ。それを父が強引に。だから兄さんを悪く思わないでね?」
何度もごめんねと和泉さんは私を気遣ってくれる。そうなのか、びっくりしたけど流星さんの大事な家族だ。きちんとおもてなししなくては!
「事情はわかりました。和泉さんもどうぞお入りください」
にっこり笑うと和泉さんも安心したように優しく微笑んだ。

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