極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

斗真side

「あっ!叶ちゃん!」
来るときはビクビクしてたのに帰るときは脱兎のごとく早い。
後ろで二人を見守ってた俺は叶ちゃんを追いかけるのを諦め、振り返り盛大にため息を吐いた。
「流星、いいのか?叶ちゃんどっか行って帰って来ないかもしれないぞ?誰かさんみたいに」
「ふん、あいつの行くとこなどたかが知れてる」
渋い顔して何言ってんだか。早く追いかければいいものを。子供みたいに意地を張ってる流星を呆れて見ていた。
徐に立ち上がった流星はガンガン響く音楽を止めさせ、窓辺に向かい下をじっと見ている。
「なんであいつを連れて来た。あんな無防備な格好で…」
「いや、お前の庇護欲を掻き立てよと…」
そこまで言って碧い目を細め凍りそうなほど睨んでくるから口を噤んだ。
藪蛇だったか?実は今日の志向も俺が仕組んだ。大音量の音楽に両脇には美女を侍らせ流星の嫌いな演出をした。ショックを受けるだろう叶ちゃんを流星は直ぐにここから連れ出すと思ったんだがな。逆に平然とやつは叶ちゃんを追い出したわけだ。

叶ちゃんが来てから付き合いの悪くなった流星がこのラウンジにまた顔を出すようになったのは数日前。叶ちゃんはどうしたと聞けば目が座って何も言わない流星に何かあったなとは思ったが…。
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