極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

叶side

「叶ちゃん!」
「斗真さん…なんでここが分かったんですか?」
「いや、あいつが…。流星の奴ほんとにあそこから叶ちゃんが見えたのか?」
走って来たらしい斗真さんは私が座るベンチの前でゼーハー言って息を整え高く聳え立つオフィスビルを見上げた。
「流星が、叶ちゃんはここに居るって言うから話半分で来てみたらほんとにいた」
「そうですか…。流星さんは見えていたわけじゃないと思います。ここは流星さんに教えてもらった場所ですから」
見渡すここは、MAHOROBA屋上の日本庭園。もちろん今は閉店していてここも閉められているのだけど以外と閉められた後もライトアップされて明るい。
一般には閉店後は入れないことになってるけど、非常階段から上がって中に入れるのは私と流星さんだけが知ってる秘密だった。
「あ、そうなんだ。でもあいつずっとあのラウンジの窓からここを見てたぞ?」
「流星さんが私を見てたなんてありません。私は見離されたんですから」
「見離されたって…あいつも意地っ張りだからさっきはちょっと口が過ぎただけだよ。ほんとは叶ちゃんの事大事だと思ってるよ?」
項垂れる私の横に座った斗真さんに私はゆっくり首を振った。
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