極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

流星side

斗真が叶と合流したのが見えた。
ここはオフィスビルの46階。隣のMAHOROBAは3階しかないからその差は43階、ゆうに160mの差がある。普通なら下にいる人など豆粒程度にしか見えないし誰かなんて判別出来ない、しかし俺は叶の姿を直ぐに見つけどこに行くのか目で追っていた。中央にある松の木が3本立ってる横にベンチがある。そこに叶は座っていた。もう一人、斗真だろう黒い影が近付きそれを見届け俺は視線を外した。
斗真は手の早い奴だが叶の事はしっかりレジデンスまで送り届けるはずだ。

ー『俺は早く一人になりたい、それだけだ』
俺は叶の前で言ってはいけない事を言ってしまった。
ー『一人になることがどんなに辛いことか流星さんはわかっていない…』
押し殺したような低い声に目を瞠る。
『家族がいるのに!恵まれた環境があるのに!それを失った時の苦しみを流星さんは何もわかってない!明日、大切な家族がいなくなるかもしれなんですよ!それなのに蟠りを残したままでいいんですか!?』
初めて見せた叶の激昂。一人の辛さを身を持って経験してる叶を自分の一言で傷つけてしまった。泣きそうな叶の顔が目に浮かぶと、一人になりたくないと泣いたあの当時の叶を思い出した。一人にさせたくなくて側においたのに何をやってるのか。今は叶に合わす顔がない。
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