極上御曹司はウブな彼女を独占愛で堕としたい

叶side

それから…
流星さんは帰って来ることはなく、梶原さんに流星さんの様子を聞くこともしなくなり一週間が過ぎた。今日実家のお屋敷のリフォームが終ったと聞き、明日いよいよこの家を出ることになった。
今日は茶道のお稽古があるため流星さんからお借りした3枚のうちの最後の一着、水色に裾に流れるようにあしらわれた花々が綺麗なお着物を身に着けて、一緒に習ってる茉子ちゃんを迎えに行った。
「こんにちは」
「あ、叶ちゃんいらっしゃい。わあ、今日のお着物もきれいね」
「茉子ちゃんもきれい。似合ってるよ」
今日の茉子ちゃんはいつもの町娘風じゃなくてきちんとした薄紫から下に濃くなっていくグラデーションの綺麗な訪問着を着ていた。
「よ!お二人さん。お、叶ちゃん今日の着物姿も綺麗だね」
大和さんがひょっこり現れて私の姿を褒めてくれる。でも、私は茉子ちゃんの様子の方が気になった。
「ん?どうした?」
大和さん、気付いてあげてくださいよ〜と言いたいけど言えなくて苦笑い。
ムッとしてる茉子ちゃんは思いっきり大和さんの脇腹を肘で突いた。
「うおっ!いったいなあ茉子ちゃん何膨れてんのさ?」
「や、大和さん…」
とぼけた顔をする大和さんに思わず目で合図を送った。
< 86 / 168 >

この作品をシェア

pagetop