君がいれば、楽園
『ピピピ、ピン、ポーン』

 エレベーターがあってよかったと思いながら三階の部屋へ入るなり、玄関のチャイムが鳴った。

「お届け物でーす!」

 ドアを開けると、白い息を吐く宅配便のお兄さんがいた。

「こんばんは、こちらにサインお願いします! はい、どうもありがとうございましたー!」

 元気のいいお兄さんが玄関先に置いていったのは、ゴロゴロとかぼちゃの入った段ボール。
 送り主は母。『冬麻くんに食べさせてあげて♡』と書かれた一筆箋(いっぴつせん)が入っていた。

 でも、冷え切ったわたしの部屋に、冬麻はもういない。

「クリスマスに、かぼちゃはないよね……」

 自嘲気味に呟いて、ずるずると段ボール箱を台所まで引きずり、コートを着たままストーブを点ける。

 しばらくソファーに寝転がってぼんやり天井を見上げていたが、何か食べれば温まるんじゃないかと思いついた。
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