君がいれば、楽園
「え? そこ……? 冬麻とエッチする時の参考にって、ミナちゃんがあんたのAVをこっそりくれた」
 
 弟の意外な質問に、つい正直に答えてしまう。

「どうりで、俺のお気に入りがいくら探しても見つからない……って、うちのヨメは、ナニしてくれてんの。姉ちゃんも、貰ってんじゃねーよっ!」

 怒る弟に、ちゃんと理由があったのだと説明する。

「だ、だって、わたし冬麻以外の人とそういうことしたことないから、その……マンネリ? になったら、飽きられちゃうかもって思って……いや、でも、その、さすがに……SMは無理って思ったけど。鞭、買ってみたけど痛そうだったし」

「買う前に、まずは冬麻さんの趣味訊けよ」

「そんなの訊けないに決まってるでしょっ! でも、もしもそういう趣味だったら……どうしよう。わたし……Mは無理だから、Sでもいいかな?」

「いや、そこは簡単には譲れないとこ……って、もう別れてるんだから、悩まなくてもいんじゃね?」

「…………」

 もう二度と、彼に触れることはないし、触れられることもない。
 改めて思うと、しん、と胸の奥が冷えた。
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