【女の事件】黒煙のレクイエム
第43話
その日の夜のことであった。

たかよしは、次姉夫婦とひどい大ゲンカを起こした後に気持ちがぐちゃぐちゃの状態におちいった中で家出をした。

事件は、今治市共栄町3丁目の酒場街で発生した。

たかよしは、大量に酒をあおっていて、足元がフラフラになっている状態で通りを歩いていた。

その時に、通りすがりのチンピラ3人とぶつかって、大ゲンカになってしまった。

「オラたかよし!!」
「待てやコラ!!」

チンピラの男3人から追われているたかよしは、森見公園まで逃げてきた。

たかよしは、追っ手をまいた後にフラフラと公園の敷地を歩いた後、ひとりぼっちでベンチに座って考え事をしていた。

この時であったが、フィリピンパブのホステスの女がたかよしを見つけて声をかけた。

「たかよし!!」
「サナ…」
「ヤダ…一体どうしたのよ…」

帰る家をなくしたたかよしは、フィリピンパブのホステスの女が暮らしている部屋に転がりこんだ後、彼女のヒモになって、ダラクをして行く方を選んだ。

翌日の朝9時過ぎのことであった。

たかよしの家族たちが暮らしている借家に、今治市の市役所の福祉課の女性職員さん3人が家にやって来て、たかよしとたかよしの母とまさよしの嫁さんが無職の状態を抱えている上に、借家の家賃が払えなくなってしまったことを受けて、今後どのようにして行くのかを話し合っていた。

市役所の女性職員さんは、たかよしの母に今治市の老健施設へ入所などをすすめていたが、たかよしの母はアタシに対してのつぐないができていないことを理由に施設に入ることができないと口走っていたので、話し合いが平行線をたどってしまった。

身寄りがいない孤立無援の状態におちいっていると言うのに、どこのどこまでイコジを通す気なのかしらね…

アタシはこの時であったが、たかよしの家の終わりが近づいていると思っていた。
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