こっちじゃよくあることです。
「浮気ぃ?!」

「先輩…声を押さえて…。」

「ああ…ゴメンゴメン。あんたの彼氏って虫も殺せなさそうなヒョロッとした子じゃなかったっけ?そんな子が浮気?」

虫…とかヒョロッとしているのは浮気とは何ら関係が無いとは思うけど、魔力をズオオッと上げて怖い顔をしている山田先輩にはとても言えなかった。

「相手誰なの?」

「そこまでは…偶然二人が歩いてる所に出くわしまして…。」

「……。」

先輩、魔力怖いです。

「彼氏から連絡は?」

「あ…えーと。」

スマホを見る。着歴が何件かあって、メッセージが送られてきているが怖くて見ていない。

「怖くて見てません。」

山田先輩の魔力がまた上がる。

「も〜山田、そんなに怒ってやるなよ。」

「莉奈ちゃんに怒ってる訳じゃないよ!そのヒョロッと野郎に怒ってんの!」

私の前の席に座っている既婚者の呉川さん(男性)が会議の資料を手渡してくれた。

受け取って読んではいるが、呉川さんが私を見詰めている視線に気がついて集中出来ない。

「何ですか?」

「メッセージ見ないの?はっきり言っちゃうと見た方が後々の為になるよ。」

やけに断定するね。私と山田先輩の視線に気がついたのか呉川さんは困ったような顔をしてから口を開いた。

「昔ね付き合っていた彼女と遠距離恋愛になってね。向こうから離れてて辛いから別れてくれって言われたんだ。」

「は~なるほど。」

「遠恋あるあるですね。」

呉川さんは深く溜め息をついた。呉川さんの魔力が暗く色を変化させた。後悔…とか悲しみとかかな?

「彼女からメッセージが何件も届いてたのを怖くて見れなかったんだ。それを一か月も置いたままにしちゃってて…飲み会で同僚に相談した時に、酔っぱらった同僚にメッセージの文章を開いて見られちゃったんだ…。」

「何が書いてました?」

興味津々になってしまうのはご了承下さい…。




< 7 / 43 >

この作品をシェア

pagetop