彼と彼女の甘い秘めごと
それから一晩中、話し合った。
笑いながら。胸が熱くなりながら。愛しい日々に、想いを馳せながら。
離れていたことにも意味があったと
言い切った伊織に、わたしも深くうなずいた。
友達。家族。そして彼。
素敵な人に囲まれている日々に、感謝して。
何があってももう離れない。
…理想論だとしても、きっとそうなのだと、心の底から思えたんだ。
秘密にしていることが条件だったこの恋愛。
…伊織のお父さんはなんていうだろう。
父は何を思い、わたしと二人になった時何を話すだろう。
疑問に思うことはあっても、不安になることはなかった。
…伊織がいる。何よりも誰よりも心強い彼がいる。何も迷うことはなかった。
そして
いよいよ、その両親の結婚記念日がやってくる――…。