彼と彼女の甘い秘めごと
「「はぁあ!?」」
「……き…きす……」
「ほらぁもうっ、ひなには刺激が強かったじゃん!だから言わせちゃうのって聞いたのにー」
璃乃はそう言って、再び満面の笑みで両手を顔に当てていた。
ひなは口をあんぐりを通り越して卒倒しそうになっていた。
「待ってくれ、俺は委員長にキスなんてしてないぞ!?」
「もういいよ碓氷ー。そんなごまかさなくてもばれてるってー」
「そうだよ碓氷ー!委員長も、おめでとう!」
「「ヒューヒュー!!」」
璃乃だけじゃなくて同じ学年の子たちが、クラスを問わず祝福してくる。
いつの間にかできた輪の中心で否定をしても、追い付けそうになかった。
「璃乃、いつどこで見たのか教えてくれる?本当に状況が分からないの」
「え?あたし、委員長と碓氷のちょっと後ろを歩いてたけど、その時に見ちゃったよ」
「っその時ってどの時だよ!?」
碓氷くんの剣幕が凄まじい。…明るくて気さくな璃乃も、この時ばかりは完全にひるんでいた。