極甘クールな芸能人幼なじみの意地悪な溺愛

初めて紗知を意識したのは幼稚園の時。
お遊戯会の練習でカスタネットを上手に叩けなくてふて腐れてた俺を励ましてくれたのが紗知だった。


「わたしのも見てて」


そう言って一生懸命カスタネットを叩き出したけど、それが俺のを上回るくらい下手くそで、だけど一生懸命で必死で。


「だいじょうぶ、わたしたちすごく上手だよ!」


一緒にがんばろうってにこっと笑われて、完全に恋に落ちた六歳の俺。


「ずっととなりで見てていい?」


そう聞いたら「もちろんだよ。いっしょに練習しよう」って言われたから、ほんとにずっと隣にいて紗知を見てきた。



それから今までずっと片思い歴を更新していくことになったんだけど。


そんなことをふと思い出したら急に恥ずかしくなってアウターの襟のなかに首を埋めた。


特に気づかれもせず思ってたより早く地元駅に着いてちょっと落ち着かない。
毎日ここ使って学校に通ってんだ。
同じ制服着たかったな、なんて思ってたら目に入った異様な光景。


自販機にしがみついてるあの女子高生って……あの制服の下に着てるあずき色のジャージって。
もしかして……紗知だったりしない?


そっと回り込んで顔を確認して思わず立ちすくむ。
どうしよう、本物だ……。
思ってた再会と違って戸惑ったけど、感激の方がでかかった。


必死になって何かを探してる。
困り果てて焦ってる。
この後何をしだすかわからないのが危なっかしいし、こっちがそわそわしてきた。


でもお金を落としたくらいじゃあんなとこに手を突っ込んだりしないと思う。
少し涙ぐんでるし。


ここで正体を知られるのはまずいんだけど、どうにかしてやりたくて控え目に近づいた。

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