極甘クールな芸能人幼なじみの意地悪な溺愛
その日、紗知はなかなか風呂から出てこなかった。のぼせるくらい長い時間、何を考えてた?
悪い予感が当たらなきゃいいって思ってたけどまさかの的中で、紗知は一緒にいるのがつらいってぽつりこぼした。
そんなの今だけで、お互いの強い気持ちがあれば乗り越えられるって思ってたけど苦しそうな顔は見てられなくなった。
ネットの件で紗知が参ってるのはほんとうだし、俺が何もしてあげられないのもほんとう。
「住む世界が違うんだもん。ナツ君に私の気持ちなんてわからない」
優しい紗知にそんな言葉を言わせてしまった俺って最悪。
でもそれで、今の自分じゃ紗知のことを幸せにしてあげられないんだってわかった。
今必要なのは、なんでもない日常の写真一枚で紗知を癒してた那月との思い出なのかもしれない。
じゃあ俺が消えたら、また笑えるようになる?
好きな絵を好きなだけ、伸び伸び描けるようになる?
もうこれ以上苦しめたくないよ。
解放すること、関わらないこと。
それが今の俺にしてやれることなんだ。
再会するまであんなに時間がかかったのに、別れるときは一瞬だった。
虚しくて苦しくて、消えてしまいたい。