極甘クールな芸能人幼なじみの意地悪な溺愛


「じゃあ、あとであの差し入れ片付けにいくからそのままにしといてね」

 

ぼそぼそ呟いたらナツ君は首をかしげた。


「何言ってんの。まともに休憩なんて取れないスタッフさんもいるし、両手が塞がると困る人も多いからおにぎりはいちばん助かるのに。出番が多い演者は尚更。麻凛もそう思うだろ?」 



「うん。そう思ってた!」



ナツ君はそう言って自分のポケットから私が持ってきたおにぎりを2個出した。



「なくなると思ってキープしてた」



寒さも疲れも惨めさも吹き飛ぶような、優しい笑顔付き。 



「ほんとこれから争奪戦だし早い者勝ちだから。じゃあ紗知ごめん、俺らそろそろ行くわ」


「うん、頑張って」



いちゃいちゃは見せつけられたけど、去り際のナツ君の顔には
(ほらね、大丈夫)
そう書いてあった。



ナツ君の優しいとこ、全然変わってない。こんなんじゃ、どんどん切なくなる。









でもその日、いつもより早く仕事から帰ってきたナツ君はクタクタで、力尽きてソファまで辿り着けなかった。



「争奪戦には破れるし、やっぱおにぎり全然残んなかった……ポケットの2個だって取られたしもう最悪」



気を遣ってそんな大袈裟に言わなくてもいいのに、やっぱり優しいな。



「でもラーメン食べたんなら夜食はやめた方がいいんじゃないかな」



そう聞いたら食べてないって。



「俺は紗知のおにぎりが食べたかったの!」



目を見てはっきりそう言われた。
完全に気を遣わせちゃってるな。


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