【女の事件】続黒煙のレクイエム
第11話
11月19日の朝9時に5分ほど前のことであった。

場所は、きよひこが勤務していたJFの支所にて…

支所内の会計の金庫の中から現金と従業員さんたちの冠婚葬祭や親睦のために積み立てていた預金通帳がなくなった事件で、吉浜さんは従業員さんたちに当たり散らすだけ当たり散らしていた。

「オドレら本当に知らないと言うのだな!!会計の金庫の中にあった現金が抜き取られた上に従業員さんたちで積み立てて貯金をしていた預金通帳がなくなったこと…ホンマに知らないのだな!!総額は900万円なんだぞ!!900万円!!どうするのだ一体!!オドレらまさか…借金の返済に困っていたから現金を抜き取ったのか!?それとも、好きな男を助けるためにカネをあげたのか!?分かった!!もしかしたら…ちづるさんが結婚が決まったことを妬んで預金通帳を盗んでカネを引き出したのか!?それか、オドレらのきょうだいが結婚が決まったらその事を妬んで男を利用して妨害した!!その礼金に使ったのだな!!」
「支所長!!あんまりです!!アタシたちを悪者にしたいのですか!?」
「何やオドレら!!従業員のくせして上に対していいわけを言うのか!?言っておくけれど、会計の金庫の中にあった現金と預金通帳がなくなったことについては従業員の今月分支給のお給料から天引きで弁償していただくからそのつもりでおれ!!分かっていたら持ち場へつけ!!返事しろ!!」
「はいと言えばいいのでしょ…持ち場へつくわよ…」

従業員のみなさんは、さげすんだ目付きで吉浜さんを見つめながら持ち場へついた。

吉浜さんは、従業員さんたちに背中を向けてブツブツ言いながら事務所を出た。

吉浜さんが事務所から出た後、従業員さんたちは仕事をするどころかスマホを取り出してラインをしたりデスクのパソコンを開いても、オンラインゲームをして遊んだりするなどしていた。

吉浜さんは、気持ちがイライラしていたので外へ行こうとしていた。

その時に、来客が来ているので支所長室に戻るようにと言う連絡があったので、支所長室に戻った。

支所長室にやって来た来客はアタシであった。

支所長室にて…

アタシは、吉浜さんにきよひこのことで直談判に来たと言ってからこう言うた。

「すみません…お時間は大丈夫でしょうか?」
「いえいえ…あっ、あなたはきよひこさんの奥さまでしょうか?」
「何なのよあんたは一体!!ゲジゲジ野郎のきよひことアタシは離婚したわよ!!」
「離婚?」
「(気だるい声で)そんなんどうでもええでしょ!!そんなことよりも、アタシはやる気のないぼんくらのきよひこの雇用契約を解除してとお願いに来たのよ!!」
「(すっとんきょうな声で)雇用契約を解除しろって!?」
「何なのよあんたは一体!!あんたはアタシにイチャモンつける気なのかしら!!あんたは無駄欠勤や遅刻や早退けばかりを繰り返すボケ従業員をどうしてクビにしないのかしらね!!」
「おっ、奥さま…あの…あの…」
「どもりぎみに言わんといてくれるかしら!!あんたね、無駄欠勤や遅刻や早退けばかりを繰り返している虫ケラゲジゲジ野郎をどうしてクビにせえへんのかしら!!」
「クビにしたいのだけど…できん…」
「あんたね!!虫ケラゲジゲジ野郎をクビにしてと言うているのに、拒否する理由は何なのかを言いなさいよ!!」
「だから…やっ、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や、や…」
「どもらずにしゃべらんかい!!や、や、や、や、や、や、や、…って、要するにあんたは男の約束が大事だからゲジゲジ野郎をクビにできんと言いたいのでしょ!!」
「ですから…き、き、き、き、き、き…」
「どもんな!!あんたは虫ケラゲジゲジ野郎のミミズオヤジと交わした約束をまだ果たしていないと言いたいのね!!あんたもしかして、ミミズオヤジからカネ借りとんかしら!?」
「借金はしていないよ…私が中学の時、いじめられていたのだよ…その時にきよひこさんのおとーさんが助けてくださったのだよ…助けてくださった恩をまだ返していないのだよ…」
「あんたはアホじゃないの!?いじめられていたところを助けていただいたけん、虫ケラゲジゲジ野郎をJFに就職させたと言いたいわけなのね!!頭に来るわホンマに!!あんたね!!鏡に自分の顔を写してよぉにみなさいよ!!わかっとんかしらねぇオワハラ魔!!」

アタシは、吉浜さんにきよひこの雇用契約を解除してほしいと申し出たが、吉浜さんが消極的になっていたので話し合いは平行線に終わった。

何なのよ一体…

アタシの怒りは、ますます高まって行くばかりであった。
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