【女の事件】続黒煙のレクイエム
第10話
その頃であった。

仙台でバイト生活を送っているアタシは、夜のバイトがお休みだったので、つばきちゃんと一緒に晩ごはんを食べに行った。

場所は、JR仙台駅から歩いて2分のところにあるジャンジャン横丁のラーメン屋さんにて…

アタシとつばきちゃんは、650円のニラとホルモン焼きのラーメンとぎょうざと白ごはんを注文して、晩ごはんを食べているときに、テレビのワイドニュース番組でシューカツ中の大学生が面接の時に面接官のオワハラ(終わりにしろハラスメント)発言が原因でトラブルを起こした企業を公表したと言うニュースばかりが伝えられていたので、つばきちゃんは『最近のテレビのワイドニュース番組はオワハラ問題のニュースばかりでうんざりするわね!!』と言ってた。

オワハラ問題を起こした企業の中にきよひこが勤務しているJFの支所も含まれていたので、事態はより複雑になっていた。

つばきちゃんは、コップに入っているビールをのんでからアタシにこう言うた。

「ねえこずえちゃん。」
「なあに?」
「こずえちゃんは、今のダンナとリコンをした後、どうやって生きて行くのかな…」
「ゲジゲジ野郎のきよひことリコンをしたら再婚なんかせえへんけん。きよひこの家は、自分勝手な家だから、きよひこがアタシにきつい暴力をふるった問題なんかどーでもよしになってはるのよ…恐ろしい恐ろしい恐ろしい…おやきょうだいはどこのどこまでドアホなんだか…家族はきよひこの暴力に屈してはるから、弱虫になったのよ…」
「サイアクよねそれって…こずえちゃん、あんたもね、もっと自分の意志を気持ちを強く持ちなよ…こずえちゃんの意志が弱いけん足元を見られてばかりいるのよ…しっかりと地に足をつけて、力強く前を向いて歩かないとアカンねん。」

つばきちゃんはアタシにこう言うた後、ラーメン鉢に残っているおつゆの中に追いめしを入れて食べていた。

その頃であった。

無断欠勤や遅刻などを繰り返すようになっていたきよひこは、ここへ来てJFに就職をしたことについて吉浜さんのオワハラが原因で大学に残って研究ができなかったから、JFをやめることにしたと親きょうだいに怒鳴り付けて暴れるようになっていた。

きよひこは、大学にいた時に吉浜さんからのオワハラを受けたことに加えて、父親がお酒の失敗やトラブルばかりを繰り返していたので、兄嫁さんが大学に残って研究をすることを止めたことにも腹を立てていたので、怒りがひどくなっていた。

怒り心頭になっているきよひこは、父親がのんでいる日本酒の一升瓶を強引に取り上げたので、父親がきよひこに泣きそうな声でお酒を返してくれとコンガンしていたが、きよひこは、父親に激しい怒りを込めて怒鳴り付けていた。

「オラオヤジ!!オドレの酒が原因でオレの人生をボロメタにしておいて何が酒返せや!!ふざけとんか!!」
「きよひこ…返してくれ…酒を返してくれ…」
「いいや!!アカン!!酒を返してほしいのだったら、オレの人生を大学2年生の時まで返せや!!」
「きよひこ…酒を返してくれ…おとーさん…酒をなかったら生きて行けない…」
「ほんなら死ねや!!」

きよひこが父親からお酒を取り上げていた現場をさよこが目撃したので、さよこはあわててきよひこを止めた。

「きよひこさん!!おとーさんにお酒を返してあげてよ!!」
「何で返さなければいかんのや!!」
「おとーさんはお酒をのむことが楽しみなのよ!!おとーさんの楽しみを奪わないで…」
「オドレ、殺されたいのか!?オヤジの酒が原因でオレは大学院で研究をすることができんかったんや!!何が酒を返しなさいだ!!殺すぞ!!」
「きよひこさん!!きよひこさんが大学院で研究をしたいことを止めたことは悪かったわよぉ…」
「何やその言いぐさは!!」
「だから!!おとーさんはお酒をのむことしか楽しみがないのよ…おとーさんのさみしい気持ちをどうしてくみ取ってあげようとしないのよ…」

きよひこは『何やオドレは!!オドレはオヤジとグルになってオレをブジョクしたからぶっ殺してやる!!』とさよこに怒鳴り付けた後に、父親が使っているタンスの中から高価な品物を取り出していたので、さよこが止めようとしていた。

「きよひこさん!!やめて!!お願いだからやめて!!」
「離せ!!オドレらがオレの人生をボロメタに壊したから、高価な着物をボッシュウするんや!!」
「やめて!!おとーさんが大好きだったおかーさんの形見の着物をどうするのよ!?」
「制裁金や!!オレの人生をボロメタにしたのだから制裁金として払ってもらうからな!!」
「分かったわよ!!お願いだからやめて…だったら吉浜さんからの皆勤賞を受け取る…」
「釜石へ移る話は断った!!オワハラ吉浜のアホンダラ支所長の皆勤賞なんてウソっぱち何だよ!!オラ!!オドレの薬指の指輪も取り上げるぞ!!」
「やめてお願いだから!!お兄さんからの結婚記念のお祝いの指輪…買ったら数千万円の最高級の指輪なのよ!!いたいいたいいたい…」

きよひこは、兄嫁からスイートテンのダイヤの指輪を取り上げた後、家の中にある高価な品物を奪い取るだけ奪い取った。

きよひこは、家を飛び出す前に洗濯かごの中からさよこが着ていたGUのブラフィールの黒のブラキャミを取り出した。

「なにするのよやめて!!」
「ふざけるなよ…オドレが着ているブラキャミの胸の部分にオヤジがつけた口のあとがはっきりとのこっとるけん、あんたがオヤジとえげつないことをしていたことをSNSにアップするから、覚悟しておけよ!!」

きよひこは、さらに洗濯かごの中からブラフィールのレギュラーショーツも『オヤジの排液ついている』と言うて奪った後、家から飛び出した。

さよこは、その場に座り込んでクスンクスンと泣きじゃくっていた。

それから数日後のことであった。

きよひこが勤務していたJFの支所内の金庫の中から現金と従業員さんたちの冠婚葬祭や親睦のために積み立てていた預金通帳などがなくなった事件が発生したので、きよひこはJFの支所にいることができなくなった。

それと同時に、さよこが義父とえげつないことをしていた時にできたあとがついていたブラキャミとレギュラーショーツの写真がSNSにアップされた。
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