世界の終わりと目覚め

聖獣の王

ウニバルゾは魔術があふれ、精霊たちが生きている
龍、精霊そして形を持つ聖なる獣、聖獣
聖獣のなかでも力を強くもち流れる川を操れる一族を人々は王と呼ぶ

「おや?どうしたんだい?」
ペガサスの中の王と呼ばれるシリウスが少女に声をかける
青みのかかった髪に赤がまぢっている
アマリリス家の血を引き継ぐ者の髪の色
「お母様が……」
「また体調をくずしたんだね。気あたりならこの実をもっていくといい。」
ほっそりとした木にからまる蔦に実る実を一房かみとり少女に渡す
「ありがとう。」   
少女は険しい岩場に走っていった。
「めんどうみがいいな天馬殿は。」
白いトラのような容貌
タイガのビャクがのそりと現れる
「私は人がきらいではない。」
「フンッそのうち無駄に命を散らすことになるぞ。」
険しい岩場をかけあがる
タイガには王がいないオスはある時期を超えれば独りですごす
大地を司る彼らは人に使えることはない
ペガサスは人間が王と呼ぶ一族がネオスには三つある
シリウスの一族は古くから王家に使えている
金の翼を持つことから見たら幸運とあがめられているエルメスの一族は人のまぢわりを良しとしない
ベガの一族はどっち付かずだが
最近、『ネプチューン王国』で起きた大虐殺をきいてからは大半はエルメスやタイガ達と同じ意見だという
高く飛び地上を見るとベガ一族の縄張りである『ダイヤの滝』のあたりに緑と輝く岩達が減っているのがわかる
欲のある人間が『マーシャン』でしか採れない鉱石や生息しない木々を取るのも原因だが強い者がエルメス側に行ってしまい風の精霊が沈黙したのも原因だ
滝の綺麗さをたもてるのはシリウス達がなんとか力で保っているからだ。
「エント達もここをでると?」
細い木々や蔦が無数に絡まる木に話しかける
チョウジュと呼ばれる木だが実はエントという精霊なのだ
「魔獣が来たらワシらは逃げられん。翼を持つそなたになら見えたじゃろう?」
「白銀の大地が消えてリラの木々も減っている。」
「リラだけじゃない。ワシらが暴れないのをいいことに仲間を根っこから引き抜いて持っていくやからがおる。」
大地と植物を操れる彼らが本気を出せば人など人たまりもないが聖獣が暮らすのでエント達はめったに暴れない。
「若い者やタイガ達は限界に来とる闇落ちすれば魔物になりさがる……闇落ちがはじまれば闇も集るじゃろう。」
黒に近い緑の目で宙をみる
そうなれば、ベガ一族は滅びるいや闇をよんだと聖なる者達の世界からはじきだされるだろう。
「くいとめたいが私らじゃ力はお呼ばない。」
龍族なら何とか出来るが協力はしてもらえないだろう
「シリウス殿も手を引きなされことがおきる前に、さてどこに行くか話し合わなければならんのでな。」
ズズと根を動かすその下にいた小さなタイガがにげて行く
人々は知らないが『メシア』は闇落ちしている
闇の番人が動くか動かないがおそらく『マーシャン』の運命を決める
どうするべきか?
シリウスはベガの元へ向かうために飛びたった。
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