あなたと・・

不安


蒼には、なるべく師長が
診察の時についてくれた。

浩介もできる限り側にいた。

少しずつ師長になれてはきたが
塁や浩介のようには
中々いかなかった。

蒼は、浩介がくると
途端にホッとした顔をする。
張り詰めていたものが
すとんとなくなるのだ。

自分でも、どうしてなのか
わからなかった。
だが、浩介が抱き締めたり
手を繋いでくれると
安心してしまう。

好きだとか
愛しているとか
もう自分には、そんな気持ちは
ないと思っている。

ましてや、何人もの男に
襲われた女なんて・・・
と、考えていると
あの時を思いだし、
ガタガタとふるえ····だし····

師長さんが
「大丈夫?松田さん。」
と、声をかけているときに
浩介が入ってきて
蒼を抱き締め
「蒼、大丈夫だ。
何にも心配いらない。
何も心配ない
大丈夫だ、なぁ、大丈夫。」
と、力強く告げる。

すると、段々とふるえは収まり
呼吸も楽になって行き
「社長····すみません····。
師長さんも····すみ····ません····。」
と、蒼は言う
師長は、
「大丈夫よ。
でも、中津川さんには負けるのよね。」
と、ニコニコしながら
病室から出ていった。

浩介は、
「蒼、お前、もうスーパーの社員じゃ
ないんだから
いつまでも、社長じゃおかしいだろ
浩介と呼べ。
塁は、こうちゃんと呼んでるぞ。」
「わかっては‥‥‥いるのですが・・・」
「それと、敬語もやめろ。
じゃないと、塁を連れてきて
やらないぞ。」
と、ニヤニヤしながらいうと
「もぅ。」と言いながら
「善処します。」
と、言った。

蒼には、蒼が目覚めない間に
旦那とは離婚させておいた。
(だから、蒼と塁は
河野から蒼の旧姓の松田となっている)
と話し、蒼を傷つけた奴らには
制裁をあたえた事も告げた。
もちろん、
みんな捕まった事も話し済みだ。

蒼は、涙を流しながら
「ありがとうございます。」
と、何度も言った。

住む場所は、勝手だが
俺の部屋の隣にした。
荷物も搬入済みだ。

悪いが、あの男と使っていたものは
すべて廃棄した。
塁の必要なものは
塁に聞きながら決めた。

後は、蒼の服も下着等も
すべて廃棄した。

節約するしかなかったからか
蒼は、ほとんど服も持っていなかったが。

亮は、すべてを捨てる俺を見て
「束縛、激しそう。」
と、笑うから
蹴りをいれようとしたら
避けやがった。

そうだ、蒼のものは
これからは、俺が用意する
もう、遠慮はしない。

この年まで
女がいなかったとは
言わない。
だが、惚れた女も
結婚したいと思って女も
いなかった。

ただ、仕事が楽しく
養成学校の生徒や仲間と過ごす事で
満足していた。

ボディーガードの生徒は
優秀で、就職先もランクが高い。
海外の要人のSPになっている
卒業生も沢山いる。

先生達も優秀な人材ばかりだからな。
政府から貸して欲しいと
お願いされる事も多い。

学校の方は、
いずれ、亮に任せようと思っている。

各スーパーと会社は、
やらないといけないとは
思っているが。

話は、それたが
今後は、塁と蒼は全力で護っていく。
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