あなたと・・

苛立ち


須藤・・・

目覚めてからの彼女は、
自分の息子と中津川さん以外は
受け入れられずにいた。

師長に、ここのところやっと、
なれつつあるが・・・
急な接触は師長でも
ダメだった。

目覚めてからは、
歩行訓練と食事をとる事に
集中する事になった。
体力をつけることが先決だ。

歩行訓練は、必ず中津川さんと
一緒だった。
心療内科の先生も女医が担当。

腕と肋骨のヒビも良くなり
腕の固定も外れたから
背中の火傷の治療に入る。

皮膚科と形成外科の連携になり
俺が入る事はなくなる。
皮膚科に関しても中津川さんが
寄り添っている。

俺には、もう見込みはないのだろうか?

彼女が目覚めていないときは
何度も彼女の病室へ足を運んだ。

彼女の寝顔を見るだけで
良かった。

寝ていても綺麗な顔立ちだ。
目を開けたら、
どんなに美しいだろう
言葉を発したら
どんな声なんだろう
と、一人で想像をする日々を
送っていた。

彼女の皮膚移植が決まった。
ひどいところだけを
行う事になった。
中津川さんは、全てを綺麗に
してやりたいと言ったが
彼女、本人が、
自分はもう年だから
今後皮膚に異常をきたす所だけで
良いと決断をしたため
数回で終わることになる。

移植の初日の夜
俺は、彼女の病室に立ち寄った。

彼女は、麻酔が切れて目を
覚ましたらしく
俺を見て
「だれ?」
と、言うと意識を無くした。
確認したが、気絶したようだ。

俺は、彼女の手を取り
握りしめようと・・・・・・・
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