あなたと・・
あれから

あれから


河野 光斗は、
自分の罪を認め
再び、蒼と塁との生活を考えて
仕事を見つけて必死で
働いた。
借金も返して・・・と
思っているとき
あ~世の中、花見か・・・と

すると、合いたいと思っていた
顔・・が・・蒼・・?・・

声をかけたが
振り向かず
えっ、違っていたのか
と、距離を縮めると
蒼さん!!と、女の声
蒼をちらりと見ると
ガタガタとふるえていた

蒼の膝には
小さな女の子がいて

蒼の口が動いている
なんと言っているか、わからない

ザァッと、俺の横を通る風

いつの間にか
蒼は、男に抱き締められ
俺は、屈強な男に取り押さえられていた。

なっ、なんだ?
と、思っていると
その男は、ゾッとする声で
ここで、何をしている・・とか
蒼に近づくな・・とか言われ
蒼や塁に何かしたら
陽を見ることはないと思えと
他の男からも。

蒼の回りには
体格の良い男達や女達がいた。

俺は、二度近づかないと
伝えて解放された。

だが、いったい、なんなんだ?
と思いながら隠れてみていると

塁が、父ちゃん
と、言いながら近づいたのは
蒼を抱き締めている男で。
塁の頭を撫でながら
抱き締めた。

塁は、離れていかないか?
と、男に訊ね
男は、塁とゆいは自分の宝物
絶対にはなさない
それに蒼を愛していると
言った。

塁は、とても嬉しそうに
男の首に抱きつき
父ちゃんが大好きだと
言っていた。

俺は・・・・・・
あんな風にしたことも
言って・・もらった事も・・・・なかった・・

全て、自分のしてきた事

それでも・・・・・その場を
離れられずにいた。

もう一度、蒼と塁とやり直したい
と、頑張ってきたからなのか・・・
違う男に守られている
蒼と塁に、たまらない気持ちに
なったのか・・・・・

塁は、男の横で小さな女の子と
楽しそうにしている
回りの男女も塁と女の子を
可愛がりながら
蒼の事を気にかけていた。

少しすると
蒼が目を覚ましたようで
回りをキョロキョロしている

俺が、まだ近くにいないか
心配しているのだろう・・・・

回りの人達に
頭を下げながら
抱き締めている男の顔を見て
赤くなっている

蒼のあんな顔を見たのは
初めて・・だった・・・・
愛しそうな・・・
安心した・・・ような・・・・
嬉し・・・そうな・・・・・

こんな俺でも、わかる
もう無理だと。

よ~く、わかった。

悔しいけど
俺がやってきたことの
報いだ。

今からは、塁の父親として
恥じない男になろう
と、思いながら
その場を離れる

光斗の頬には
涙が流れていた。


浩介や亮は、
河野の近くにいることは
わかっていたが
河野がなにかをすることはない
と、思っていた。

そっと、去っていく 河野·····
二人は、顔を見合わせて頷いた。
< 45 / 49 >

この作品をシェア

pagetop