【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
――けれど。わたしは皇くんの胸元をそっと押し返した。
あれほど強く抱きしめられていたのに、わたしが押し返すと、その腕はいとも簡単に緩んだ。
「ごめんなさい」
やっぱりわたしには、この手を握ることはできない。
すると皇くんは声を荒らげるわけでも突き放すわけでもなく、静かに一言聞いてきた。
「そんなにあいつがいいのか。こんな顔をさせるあいつが」
わたしは目を伏せたまま頷いた。
先生を好きでいたその先に自分が幸せになるゴールがなくても、そんなの関係ない。先生を好きでいる資格なんてないとも思ったけれど、きっと自分がしてしまったことから目をそらしてはいけないのだ。