【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
不思議に思いながら玄関に駆けて、鍵を開ける。するとその途端ドアが開いて、なだれこむように大きな人影がわたしに向かって倒れてきた。
「えっ!?」
肩に寄り掛かってきたその人が先生だということに気づく。先生からはツンと鼻を刺すようなお酒の匂いがする。相当酔っているようだ。
「先生、ここ、わたしの部屋です……」
肩に正面からもたれかかったまま動かないでいる先生の体を小さく揺らしてみる。
「先生?」
応答はない。まさか眠ってしまったのだろうか。
このままでいるわけにもいかない。せめて布団で寝かせなければと、先生の肩を担いでリビングへ歩く。
けれど、脱力しきった成人男性の体は、女子高生ひとりで簡単に動かせるほど軽くはない。やっとのことでうとうとする先生をソファーに座らせ、ジャケットを脱がせた頃には、すっかり汗だくになっていた。
ソファーにぐでんと寄りかかった状態の先生が、ようやく気づいたのかかすかに目を開く。
「先生、水飲みます?」
「ああ、のむ……」
酔った先生についきゅんとしそうになる自分をなんとか諫め、キッチンに水を取りに行く。