【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい
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HRが終わるとすぐ、わたしは皇くんを同じ階にある空き教室に連れ出した。ふたりきりになるのは怖いけれど、すぐにふたりで話をしなければいけないと思ったからだ。
皇くんは、わたしがドアを閉める様子を横目で見ながら緊張感のかけらもない声をかけてくる。
「なんだよ、いきなり連れ出すなんて。そんなに早く俺とふたりになりたかったわけ?」
「ち、違う……! いったいなにが目的なの?」
「なにをそんなに怒ってるんだよ」
「だって、HRであんなことするから……」
「ずいぶんと俺が悪者みたいな言い方するじゃん。俺はクラスのための善意だったんだけど?」
「そ、そういうことじゃなくて……!」
言葉を投げかけてもさらりといなされ、雲を掴むみたいに手応えがまるでない。皇くんの声音には余裕しかなく、彼のペースに乗せられていることは明らかだった。