【完】終わりのない明日を君の隣で見ていたい

 そしてようやく皇くんが足を止めたのは、2階の廊下の突き当たりにある階段下だった。腕を離され、わたしは持ったままだった荷物を地面に置き、おそるおそる皇くんを窺う。

「皇くん?」

 すると皇くんはこちらに背中を向けたまま、ぽつりと返してきた。

「ゼッケン、もらった。ありがとな」

 まさかお礼を言われるとは思わず、少し拍子抜けしてしまう。勝手にゼッケンなんて作って怒らせてしまったのかとここに来るまで内心ヒヤヒヤだったから、ほっとする。
 でもそういうことなら、わざわざこんなところに連れ出さなくてもよかったのに。

「たいした出来じゃないんだけどね。あれ着けて、当日も頑張ろうね」

 すると、その時だった。不意に皇くんが振り返ったかと思うと、わたしの体は皇くんの大きな体にすっぽりと抱きしめられていた。
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